ペネロペ ようちえんへいく/アン・グットマン

『ペネロペ ようちえんへいく』は、フランスの作家アン・グットマン(Anne Gutman)が手がけた「ペネロペ」シリーズの一冊です。2003年にフランスで『Pénélope à l’école』として発行されました。日本語版は2004年に発行されました。青いコアラの女の子ペネロペが主人公で、子どもたちが共感しやすい日常生活の出来事が描かれています。この絵本では、ペネロペが初めて幼稚園に行き、遊びや学びを通じて新しい世界を発見する様子が描かれています。色鮮やかで温かみのあるイラストが特徴で、読み手も一緒に幼稚園生活を体験するような気持ちになります。小さな読者にとって、初めての集団生活への期待と少しの不安を楽しく乗り越えるヒントが詰まった仕掛け絵本です。

略歴

アン・グットマン

アン・グットマン(Anne Gutman)は、1970年にフランス・パリで生まれた絵本作家です。小説家であった父親の影響を受け、幼少期から創作活動に興味を持ちました。デザイナーとして出版社で勤務していた際、画家のゲオルグ・ハレンスレーベンと出会い、結婚しました。夫の助言を受けて作家活動を本格化し、彼と共に絵本制作を開始しました。主に文章と装丁を担当し、1999年に「リサとガスパール」シリーズを発表しました。このシリーズは世界的なベストセラーとなり、続いてコアラの女の子を主人公とした「ペネロペ」シリーズも手がけました。「ペネロペ」シリーズは『うっかりペネロペ』としてアニメ化され、日本でも高い人気を博しています。アン・グットマンの独特の文体と感動的なストーリーテリングで、多くの読者に愛されています。彼女の作品は、世界中で翻訳され、多くの子どもたちに読み聞かせされています。

ゲオルク・ハレンスレーベン(絵)

ゲオルク・ハレンスレーベン(Georg Hallensleben)は、1958年にドイツのヴッパータルで生まれた絵本画家です。 幼少期から水彩画に親しみ、高校卒業後に絵本の挿絵の仕事を始めました。 その後、パリでデザイナーとして活動していたアン・グットマンと出会い、結婚。以降はアンと共に絵本制作を行い、主にイラストを担当しています。 代表作として、架空の動物を主人公にした「リサとガスパール」シリーズや、コアラの女の子が主人公の「ペネロペ」シリーズがあり、これらの作品は世界中で愛されています。

ひがし かずこ(訳)

ひがし かずこ(東 一子)は、東京都生まれで、慶應義塾大学を卒業後、出版社勤務を経て絵本の翻訳に携わるようになりました。主な訳書には、「ペネロペ」シリーズや「ベルとブゥ」シリーズ、『あわてんぼうさちゃん』(いずれも岩崎書店)、『しょうぼうしゃのダッシュくん』(PHP研究所)などがあります。特に「ペネロペ」シリーズでは、フランスの人気キャラクターであるペネロペの魅力を日本の読者に伝える役割を果たしています。その翻訳は、原作の雰囲気やニュアンスを丁寧に伝えることで定評があります。

おすすめ対象年齢

「ペネロペ ようちえんへいく」は、主に3歳から5歳の幼児を対象としています。この年齢の子どもたちは、物語の中心である幼稚園生活に関心を持ち始めたり、自分もそろそろ幼稚園に行く準備をしたりすることが多いため、ペネロペの体験が共感を呼びやすい内容となっています。幼稚園という新しい環境での初めての経験など、幼い読者にとってリアルで身近なテーマが描かれています。この絵本は、幼児が新しい環境への適応や、他の子どもたちとの関わりを前向きに楽しめるようなメッセージを含んでおり、親子で読み聞かせを楽しむのにも最適です。

レビュー

『ペネロペ ようちえんへいく』は、幼稚園での新しい体験を楽しむペネロペの姿が生き生きと描かれており、幼児が共感しやすい内容となっています。しかけ絵本としての工夫も豊富で、子どもたちはページをめくるたびに新たな発見があり、飽きることなく楽しめます。ゲオルグ・ハレンスレーベンの柔らかい色彩と温かみのあるイラストレーションは、物語の雰囲気をより一層引き立てています。また、ひがし かずこ氏の自然な日本語訳により、読み手に違和感なく物語が伝わります。幼稚園入園を控える子どもたちにとって、新しい環境への期待と安心感を与えてくれる一冊であり、親子での読み聞かせにも最適です。全体として、教育的価値と娯楽性を兼ね備えた優れた絵本だと感じました。

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