ちいさなきいろいかさ/もりひさし

『ちいさなきいろいかさ』は、もりひさしさん作、にしまきかやこさんのイラストによる絵本で、1971年に金の星社から初版が発行されました。物語は、黄色い傘を手に入れた少女が初めて一人で散歩に出かける中で、動物たちと出会い、傘に一緒に入るという内容です。この作品は、第18回サンケイ児童出版文化賞を受賞しています。

略歴

もり ひさし

もり ひさし(本名:森久保仙太郎)は、1917年に神奈川県津久井郡で生まれ、鎌倉師範学校を卒業後、小学校教師として勤務しました。教育者としての経験を活かし、児童文学作家や翻訳家としても活躍しました。特に、エリック・カールの『はらぺこあおむし』やガブリエル・バンサンの作品など、多くの絵本の翻訳を手掛けました。また、わかやまけんの「こぐまちゃんえほん」シリーズの制作にも関わり、こぐま社の設立にも参加しました。2018年に亡くなるまで、教育者、歌人、児童文学作家として多彩な活動を続けました。

にしまきかやこ(絵)

にしまきかやこ(西巻茅子)は、1939年、東京都世田谷区に生まれました。東京芸術大学工芸科を卒業後、リトグラフやエッチングを学び、日本版画協会展で新人賞や奨励賞を受賞しています。その後、絵本作家として活動を始め、『わたしのワンピース』や『ちいさなきいろいかさ』など、多くの作品を手掛けました。彼女の作品は、リトグラフや刺繍など多彩な技法を用いた温かみのある絵柄が特徴です。

おすすめ対象年齢

『ちいさなきいろいかさ』の対象年齢は、2歳頃の幼児からとされています。シンプルなストーリーと優しいイラストレーションは、小さなお子様にも理解しやすく、親しみやすい内容となっています。また、初めての一人歩きや新しい出会いといったテーマは、幼児期の子どもたちにとって共感しやすく、自立心や他者との関わりを学ぶ良い機会を提供します。

レビュー

この絵本は、初めての冒険や他者との交流を描いており、幼い読者にとって新しい世界への興味や友情の大切さを感じさせる作品です。にしまきかやこの柔らかなイラストは、物語の温かさを引き立て、読者に安心感を与えます。また、傘が大きくなり、さまざまな動物たちを包み込む描写は、子どもの想像力を刺激し、読後に心地よい余韻を残します。親子で読み聞かせをすることで、子どもたちの感受性や共感力を育む一冊と言えるでしょう。

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