トラのじゅうたんになりたかったトラ/ジェラルド・ローズ

トラのじゅうたんになりたかったトラ』は、イギリスの絵本作家ジェラルド・ローズさんによるユーモア絵本で、原題は 『The Tiger-Skin Rug』。1979年にイギリスで刊行され、日本では2011年に岩波書店から出版されました。翻訳はふしみみさを さんです。おなかを空かせたトラは、宮殿でぜいたくな食事を楽しむ王さま一家を見て「自分もあそこで暮らしたい」と憧れます。そんなある日、干されているトラの毛皮のじゅうたんを見つけたトラは、自分が“じゅうたん”になりすまして宮殿に入り込むことを思いつきます。大胆すぎる作戦と、予想外の結末がとても愉快で、クラシカルな絵の魅力もたっぷり。ユーモアと皮肉が絶妙に効いた、長く愛される英国絵本です。

略歴

ジェラルド・ローズ

ジェラルド・ローズ(Gerald Rose/1935–2023)さんは、香港生まれのイギリス人絵本作家・イラストレーターです。幼少期をイギリスで過ごし、ロウストフト美術学校(Lowestoft School of Art)、その後、ロイヤル・アカデミー・スクール(Royal Academy Schools)で美術を学びました。細密でユーモラスな画風が特徴で、動物たちを生き生きと描いた作品で高く評価されています。1960年には『ウィンクルさんとかもめ』で英国の権威あるケイト・グリーナウェイ賞を受賞しました。代表作には『トラのじゅうたんになりたかったトラ』のほか、『Ahhh! Said Stork』などがあります。上品なユーモアと温かみのある絵で、多くの読者に親しまれている作家です。

ふしみ みさを(訳)

ふしみ みさを(伏見 操)さんは、1970年に埼玉県で生まれ、上智大学文学部フランス文学科を卒業されました。​大学卒業後、洋書絵本の卸会社やラジオ番組制作会社に勤務された後、フリーの翻訳者として活動を開始されました。​フランス語や英語の児童書を中心に、200冊以上の翻訳を手がけておられます。​代表的な訳書には、『うんちっち』(あすなろ書房)、『ウィンクルさんとかもめ』、『トラのじゅうたんになりたかったトラ』(岩波書店)などがあります。​現在は海外と日本を行き来しながら、翻訳活動を続けておられます。​また、エッセイの執筆など、多方面で活躍されています。

おすすめ対象年齢

対象年齢は4歳〜小学校低学年くらいがおすすめです。ストーリー性がしっかりあるので、少し長めのお話を楽しめる年齢に向いています。トラの大胆な発想やコミカルな展開は、小さな子でも楽しめますし、大人が読むと物語のユーモアや皮肉も味わえます。読み聞かせにもぴったりで、「次どうなるの?」とワクワクしながら聞ける絵本です。

レビュー

この絵本はタイトルを見た瞬間から「どういうこと!?」と気になりましたが、読んでみると想像以上に面白かったです。宮殿に入りたいトラの発想がかなり強引なのに、どこか憎めなくて応援したくなります。特に“じゅうたんになりきる”場面はシュールで、思わず笑ってしまいました。ジェラルド・ローズさんのクラシカルで細やかな絵も物語にぴったりで、宮殿の華やかさとトラのコミカルさがよく伝わってきます。子どもは純粋に笑えて、大人は少しブラックユーモアも楽しめる、親子で読みたい一冊だと感じました。