『リゼッテとかたつむりのうばぐるま』は、オランダ生まれでフランスを拠点に活動する絵本作家カタリーナ・ヴァルクスによる作品です。原題はフランス語で『Dans la poussette de Lisette』、発行国はフランス。日本では2008年にクレヨンハウスから刊行され、訳はふしみみさをさんが担当しています。雨の日、リゼッテは歩くのがとても遅いかたつむりのヨーヨーに出会います。なかなか進まないヨーヨーのために、お人形のうばぐるまに乗せてあげるのですが、それを見た友だちまで「のりたい!」と言い出して大騒ぎに。小さな思いつきからどんどん展開していくストーリーが楽しく、子どもの自由な発想そのものを見ているような一冊です。ユーモラスで少し不思議な空気感も、「リゼッテ」シリーズならではの魅力です。
略歴
カタリーナ・ヴァルクス
カタリーナ・ヴァルクス(Catharina Valckx)さんは、1957年オランダ生まれの絵本作家・イラストレーターです。家族と共にパリ近郊で暮らした後、オランダに戻り、フローニンゲン美術大学卒業後、芸術家として活躍。息子のために児童文学の創作をはじめユーモアにあふれる作品を発表しています。現在はアムステルダムに住んでいます。代表作には「リゼッテ」シリーズのほか、「ビリー」シリーズなどがあり、ユーモラスで少しシュールな世界観が高く評価されています。動物たちを主人公にした作品が多く、やわらかな色彩と独特の間のある物語が特徴です。フランス児童文学界でも人気が高く、多くの作品が各国で翻訳出版されています。
ふしみ みさを(訳)
ふしみ みさを(伏見 操)さんは、1970年に埼玉県で生まれ、上智大学文学部フランス文学科を卒業されました。大学卒業後、洋書絵本の卸会社やラジオ番組制作会社に勤務された後、フリーの翻訳者として活動を開始されました。フランス語や英語の児童書を中心に、200冊以上の翻訳を手がけておられます。代表的な訳書には、『うんちっち』(あすなろ書房)、『ウィンクルさんとかもめ』、『トラのじゅうたんになりたかったトラ』(岩波書店)などがあります。現在は海外と日本を行き来しながら、翻訳活動を続けておられます。また、エッセイの執筆など、多方面で活躍されています。
おすすめ対象年齢
対象年齢は3歳〜6歳くらいがおすすめです。かたつむりや乳母車など、小さな子どもが興味を持ちやすいモチーフが登場し、繰り返しのある展開もわかりやすい内容です。「次は誰が乗るのかな?」と想像しながら読めるので、読み聞かせにもぴったりです。雨の日の静かな雰囲気や、友だちと一緒に遊ぶ楽しさもやさしく描かれていて、海外絵本らしいおしゃれな絵の世界を自然に楽しめる作品です。
レビュー
この絵本は、子どもの「こうしたら楽しそう!」という発想がそのまま物語になったような作品でした。歩くのが遅いかたつむりを乳母車に乗せるというアイデアがまずかわいらしく、そこから友だちまで乗りたがる流れがとても自然で微笑ましかったです。リゼッテシリーズは、大きな事件が起きるわけではないのに、ページをめくるたびに小さな驚きや笑いがあります。カタリーナ・ヴァルクスさんの絵も独特で、シンプルなのにキャラクターの表情や動きが生き生きしています。雨の日の空気感も心地よく、親子でゆったり楽しみたくなる絵本でした。

