わすれていいから/大森 裕子

わすれていいから』は、大森裕子さんによる絵本で、2024年にKADOKAWAから出版された作品です。ある家にやってきた一匹の猫が、生まれたばかりの子どもと一緒に成長していく時間を描いています。隅っこが好きで、いつも寄り添っていた“おれ”と“おまえ”。けれど、子どもは少しずつ成長し、猫のそばを離れていきます。その変化を、猫の視点から静かに見つめる構成がとても印象的です。「わすれていいから」というタイトルには、相手を思う切なさと優しさが込められていて、読む人の心に深く残ります。親子、家族、ペットとの時間がどれほど愛しいものかを改めて感じさせてくれる絵本です。2024年にはMOE絵本屋さん大賞第2位など、多くの賞でも注目されました。

略歴

大森 裕子

大森裕子(おおもりひろこ)さんは、1974年神奈川県生まれの絵本作家です。東京藝術大学大学院在学中からフリーランスとして活動をスタートし、ユーモアと観察力あふれる作品を数多く手がけています。食べ物や動物、乗り物など、子どもが夢中になりやすいテーマを、細かく楽しいイラストで描くのが魅力です。代表作には『わすれていいから』『なにができるでしょーか?』『ねこのずかん』『ちかてつ もぐらごう』『へんなおばけ』などがあります。眺めるだけでも発見が多く、子どもが何度も読みたくなる作品を生み出している人気作家さんです。

おすすめ対象年齢

対象年齢は7歳くらいから大人まで幅広く楽しめる絵本です。小さな子どもには猫と子どものやさしい日常として楽しめますし、大人が読むと成長や別れ、親の気持ちまで重なって感じられる内容です。文章は比較的シンプルですが、感情の余韻を味わうタイプの作品なので、小学校低学年くらいから特に深く受け取れると思います。親子で読むと、子どもの成長について自然と考えたくなる絵本です。

レビュー

読み終わったあとに静かに胸が締めつけられるような作品でした。猫の目線で語られることで、「成長して離れていくこと」がとても自然で、それでいて少し寂しく描かれています。特別な出来事が起きるわけではないのに、毎日の小さな時間がどれほど大切だったのかが伝わってきます。「わすれていいから」という言葉も、本当は忘れてほしくない気持ちがにじんでいるようで切なくなりました。子育て中の人はもちろん、昔ペットと暮らしていた人にも強く響くと思います。大森裕子さんの柔らかな絵もあたたかく、読後に大切な誰かを思い出したくなる絵本でした。